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4日に発表された新型コロナウイルスの全国の重症者数は505人と、初めて500人を超えて過去最多となりました。こうしたなか、神奈川県は7日から、年齢や症状を点数化して、重症化しやすい患者を優先して入院させる仕組みを導入します。これで医療崩壊を防ぐことができるのでしょうか。神奈川県の医療危機対策統括官を務める阿南英明医師に聞きます。 病床の利用率を見てみますと、確保されている病床数は1939床で、利用率は23.1%ですが、すぐに利用可能な病床は757床しかなく、利用率は59.3%となっています。
(Q.深刻な状態でしょうか)
はい、深刻な状況です。今、病院に対しては、病床拡大をお願いしています。2週間かけて650から757床まで増やしてもらいました。でも、それ以上に患者の増え方が激しく、なかなか追いついていかない。病院を探すのが大変で、患者を県の東から西に運ぶなどして、何とか耐え忍んでいる状況です。重症の人を遠くまで運ぶことは、なるべくしたくないのですが、そうせざるを得ない。まだ数字で見ると約6割ですが、現場はかなりのひっ迫感があります。 神奈川県の現在の入院基準では、65歳以上の高齢者、基礎疾患のある人は、無症状でも軽症でも原則入院となっていますが、今後、それを点数化します。例えば、75歳以上は3点、65~74歳は2点、基礎疾患によって1点または2点とします。患者が急増しているときは、5点以上で入院となります。
(Q.点数化することのメリットは何でしょうか)
65歳と75歳は、やっぱり違います。基礎疾患も糖尿病、高血圧など病気ごとにコロナに感染したときの違いがあります。さらに、重症の糖尿病と軽症の糖尿病でも差があります。そうしたことから差別化をする必要があるだろうと。トータルで見るためには、全体を数量化するというのが一つの方法でした。入院には、診察した医師や、保健所の保険士など多くの人が関わっています。また、医師同士で意見の食い違いがあったり、保険士さんの視点で入院させた方がいいが、医師は必要ないと判断することがあります。関わる人が多いので、共通の言語、共通化した指標があった方がいいだろうと。これがメリットだと思っています。 (Q.これで医療崩壊を防ぐことができるのでしょうか)
医療崩壊というのは、コロナに対応しきれないということだけでなく、他の通常の医療を、どう扱えるか。扱えなくなったときが医療崩壊。こうした点数化で、本当に入院しなければいけない人に病床を提供する。その結果として、他の医療が守られることに繋がります。我々のシミュレーションで、現在いる患者に当てはめると、点数だけでみると、3分の1~2分の1まで入院が減るだろうと思っています。これは中等症に相当する人が減ってくる。重症の人が減るわけではありませんが、中等症の部分が軽くなることによって、その分、重症の方に人を回すことができるようになります。間接的には重症のところの対応に繋がっていく。入院をしなくなった人というのは、自宅または宿泊療養に移ります。このキャパシティーを確保しながら安全対策、ちゃんとしたモニタリング体制などを担保しなければいけません。具合が悪くなったら、すぐ入院対応ができるようにしなければいけません。神奈川県では、これまで一部の地域だけだった血中の酸素飽和度を測定するために用いられる“パルスオキシメーター”の貸し出しは全県で、運用することを決定しました。 阿南先生は集団感染が起きた『ダイヤモンド・プリンセス』で、DMAT=災害派遣医療チームを率いて対応にあたられました。
(Q.10カ月が経って、いま、どのようなことを感じていますか)
10カ月前は、まさに災害。誰も予期せぬ事態で、どっと大きな災いが押し寄せてきた。いわば急ごしらえの体制で戦ってきたが、この10か月で様々な経験をし、学んだことがあります。いま、現場からすると「この人は大丈夫なのに、なぜ入院なの」ということがたくさんある。現場はわかってきています。その声を拾い上げて、それを反映させる。改変をする時期に来ていると思います。病床がひっ迫している今だからこそ、一番、進められるのではないでしょうか。日本がやってきた医療の本来の形に戻すというか近づけていかないといけない。そのステップの一つが、この点数化だと思っています。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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