窃盗罪などで実刑が確定し、横浜地検が収容しようとした無職、小林誠容疑者(43)=犯人蔵匿教唆(ぞうとくきょうさ)容疑で再逮捕=が逃走した事件で、東京高検が東京高裁に対し、小林容疑者が納付した保釈保証金600万円の全額没取を請求したことが8日、関係者への取材で分かった。請求は認められるとみられる。小林容疑者が、横浜地裁小田原支部が保釈条件で指定した住居に居住していなかったことも判明した。地裁支部の保釈判断が適正だったのか改めて問われそうだ。
小林容疑者は窃盗や傷害などの罪で起訴され、地裁支部で公判中の昨年7月、保釈が認められた。保釈保証金は計500万円だった。同9月に懲役3年8月の実刑判決を受け、小田原拘置支所に収容されたが、弁護人が即日、再び保釈を請求。地裁支部は4日後、再保釈を決定した。保釈保証金は計600万円に増額された。
東京高裁は今年1月、小林容疑者の控訴を棄却し、2月に実刑が確定。判決公判には出廷しなかった。これを受け、高検は書面などで出頭を求めたが、小林容疑者は応じなかった。地裁支部から保釈条件の中で制限住居として神奈川県厚木市内の親族宅を指定されていたが、居住していなかったという。
6月19日に地検の事務官らが同県愛川町の自宅を訪問した際、小林容疑者は包丁で威嚇しながら逃走。同23日に同県横須賀市内の知人のアパートに潜伏していたところを公務執行妨害容疑で逮捕された。
保釈保証金は、保釈中に逃亡するなど保釈条件違反が判明した場合、没取される。今回は判決確定により保釈が失効していたため、条件違反には該当しない。ただ、刑事訴訟法は「保釈された者が判決確定後に逃亡した場合、保証金の全部または一部を没取しなければならない」と規定。関係者によると、高検は高裁に全額没取を請求しており、没取額は高裁が今後決定するが、請求通り全額が没取されるとみられる。
小林容疑者は今月3日、公務執行妨害罪で起訴されるとともに、犯人蔵匿教唆容疑で再逮捕された。
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース