嶋田圭一郎
神岡鉱山(岐阜県飛驒市)内に産業廃棄物が放置されていた問題で、朝日新聞は現場の様子を撮影した複数の写真を入手した。写真には、タイヤが外れたり、車体がさびたりした車などが写っていた。長期間放置されていたことがうかがえる。写真の撮影場所について、鉱山を経営する神岡鉱業は取材に「現場と思われる」とした。
同社によると、現場は1990年以降に大規模な採掘をやめた旧坑2カ所。同社の鉱山部が鉄くずなどを一時的に保管し始めたものの、時期は不明だが廃棄物も置くようになったという。昨年9月に経済産業省から不適切だとの指摘を受け、撤去を進めている。
鉱山関係者によると、写真は2022年秋と23年夏に撮影した。現場の一つ、鉱山部事務所から1キロ以上離れた栃洞(とちぼら)坑の「S1(エスイチ)」と呼ばれる場所で撮った。十数年前に足を踏み入れた際、複数の廃車や廃タイヤ、廃重機、鉄くず、廃プラスチックなどが放置されていたという。
この鉱山関係者は「廃棄物を捨てる場所だった」と話す。鉱山部事務所では「処分費がかかるから、S1でいいやろ」との声も聞かれた。使わなくなった長さ100メートルを超えるケーブルや廃材などを車で現場まで運んだという。
もう一つの現場、茂住(もずみ)坑の「東3号」と呼ばれる場所にも「捨てたことがある」とも証言。「イタイイタイ病の被害地域の人たちをだましている気がして、罪悪感があった」と説明。「誰かに言わないといけないと思っていた」とも話した。
一方、同社鉱山部長は昨年11月の取材に約20年前に現場にはすでに車や重機などが放置されていたと説明。今回の経産省の指摘を受けて改めて現場を確認したところ、「放置されたものが増えていた」とした。
この問題は昨年9月の経産省や岐阜県の立ち入り検査で発覚した。関係者によると、検査ではこの鉱山関係者の証言とほぼ同じ状況が現場で確認されたという。(嶋田圭一郎)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル