神様はなまず様 ツルツル肌の願い、託された乙姫の使い

 「美肌になりたいなら嬉野のなまず様」。ウェブサイトに書かれたフレーズだ。温泉街の中心にある豊玉姫神社(嬉野市嬉野町下宿乙)は、「日本三大美肌の湯」として知られる嬉野温泉にふさわしく、美肌の御利益があるとされる。神様のお使い「なまず様」の置物は、物珍しさから雑誌やウェブで人気だ。

 11月上旬の3連休、温泉街の路地にある鳥居をくぐり足を進めると、お社(やしろ)の前に女性が列をつくっていた。行列の先、そこに白い「なまず様」の置物があった。傍らの絵馬には、「肌の病気が治りますように」「お肌をツルツルに!」という願いがしたためられていた。

 豊玉姫神社の創建年は不明だが、1500年代後半に一度焼失し、1600年代前半に再建されたと伝わる。初代佐賀藩主・鍋島勝茂の息子で、「肥前吉田焼」などの礎を築いた初代蓮池藩主・鍋島直澄(1616~69年)の祈願所だった。まつられているのは、海の神様の娘で、浦島太郎伝説に登場する乙姫のモデルになったとされる「豊玉姫」だ。

 そもそも、なぜ「なまず様」なのか。地域を流れる嬉野川に古くから住むとされる「白ナマズ」は、豊玉姫の使いとして信仰の対象だった。嬉野の人々はなまず様を敬って、今でもナマズ料理は食べないという。

 では、なまず様は、どうして「美肌の神様」になったのか。宮司の馬場信禎(のぶよし)さん(54)によると、嬉野温泉は昔から湯治場(とうじば)として利用されていた。そこには「白なまず」と呼ばれる肌の病気「尋常性白斑」を治そうと、ナマズの絵を描いた紙を神社に奉納した人もいた。

 本来神様は豊玉姫で、なまず様は「お使い」なのだが、だんだん解釈が広がり、「なまず様=美肌の神様」となっていったという。2000年には、地元の有志が地域おこしのために、真っ白な磁器「白磁」でつくったツルツルのなまず様を神社に寄贈。境内にまつられ、そこに参拝客が集まるようになった。最近ではテレビや雑誌、ウェブでも取り上げられ、美肌を願う女性が訪れるという。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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