小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)」の噴火で生じた軽石が、伊豆諸島の神津島(東京都神津島村)近海で大量に広がっているのが確認され始めた。19日に漁に出た神津島の漁師が沖合で見つけた。船のエンジンに入り込むトラブルも起きており、漁業への影響が深刻化するおそれがある。
神津島では軽石の漂着に備え、18日に島の西側にある港にオイルフェンスをとりつけたばかり。
漁師の浜川一生さん(43)らは19日未明、5隻の船で島の東側の多幸湾からキンメダイ漁に出港した。
午前6時ごろに島の南西70キロあたりで漁を始めると、大量の細かい軽石が天の川のように帯状になってゆらゆらと近づいてきた。気づけばあちこちに固まりが浮いている。キンメダイは水深約600メートルまで仕掛けを下ろして釣り上げる。軽石をよけたくても船はすぐには動かせないが、なんとかかわした。
ただ、漁船のエンジンルームを開けると、冷却用の海水こし器のフィルターに米粒大の粒がいっぱいつまっていた。「そっちは大丈夫か?」と仲間の船に無線で聞くと、「こっちもつまってる」。5隻みなエンジンに入り込んでいた。
「あっちもこっちもいっぱい海面に広がって、よけきれないよ」「これじゃエンジンが壊れるな」。びくびくしながら、漁を早めに切り上げて戻った。大量の軽石は帰るころには島の南西30キロほど沖まで迫っていたという。
18日は30~40隻が漁に出たが、「エンジンに石が詰まった」と話していたのは仲間1人だった。海面にはほとんど見えなかったのに「19日は全然違った。帯状になって次々流れて来てよけるのが大変だった」と浜川さん。「島の周りに来るのも時間の問題。キンメダイ漁は島の主力産業なのにどうしよう」と困惑している。(中山由美)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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