村上友里
全国の神社を束ねる宗教法人神社本庁(東京)の代表役員で事務方トップの総長ポストをめぐり、宗教団体を代表する「統理」から総長に指名されたのに役員会で否決された芦原高穂理事が、自身が総長だとの確認を求めた訴訟の判決が22日、東京地裁(笹本哲朗裁判長)であった。判決は「総長選任には役員会の議決が必要」として、芦原氏の請求を棄却した。
判決によると、今年5月、鷹司尚武統理が旭川神社(北海道旭川市)の宮司を務める芦原氏を総長に指名した。だが15人の理事による役員会は翌月、2010年から総長を務める石清水八幡宮(京都府八幡市)の宮司の田中恒清氏の続投を賛成多数で議決。鷹司統理はそれでも改めて芦原氏を総長に指名した。
神社本庁では近年、職員宿舎の売却の不正を内部告発した職員の懲戒処分が裁判で取り消された。鷹司統理はこうした問題が起きた田中総長体制の刷新のため、芦原氏を指名したと説明し、総長人事をめぐる混乱が生じていた。
神社本庁の「庁規」は、総長選任は「役員会の議を経て統理が指名する」と定めている。今回の裁判で芦原氏側は「議決の内容に縛られず、統理が指名できる」と主張したが、判決は、庁規の他の規定などに照らし、総長選任の規定は「役員会の議決で決定するという意味だ」と認定。議決がない芦原氏は総長ではないと結論づけた。(村上友里)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル