長崎市は、原爆の惨禍を生き抜いた「被爆樹木」を通じて平和を発信する「長崎クスノキプロジェクト」を9月に始める。長崎出身の歌手福山雅治さんが総合プロデューサーを務める。
長崎では、原爆の熱線や爆風に傷つけられながらも枯れずに芽吹いた木々が、被爆者を勇気づけた。市内には原爆の痕跡がある「被爆樹木」が今も46本ある。
被爆2世の福山さんは、爆心地から約800メートルの山王神社の「被爆クスノキ」をテーマにした楽曲を2014年に発表し、ライブ会場などで被爆樹木の治療のための募金を呼びかけた。寄付をもとに「クスノキ基金」(7月末時点で残高約5千万円)も設立された。
プロジェクトは市が取り組む被爆75年事業の一環。今年度内に専用ウェブサイトを開き、動画や地図を通じて被爆樹木を紹介する。福山さんもラジオやSNSを通じて被爆樹木の情報を発信する。財源には基金を充てる。
長崎市の担当者は「プロジェクトをきっかけに、幅広い世代に原爆について関心を持ってもらえたら。福山さんの発信力にも期待したい」と話した。(弓長理佳)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル