山田佳奈
格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションが「旅くじ」と名付けた「ガチャガチャ」を今月、福岡・天神の福岡パルコに設置した。福岡空港発着便の航空券が買えるチケットがカプセルに入っているが、指定された行き先は開けるまで分からず、ドキドキ感が評判を呼んでいる。
ガチャガチャは1回5千円。キャッシュレス決済のPayPay(ペイペイ)で支払う。カプセルの中のチケットには、行き先が書かれた航空券の購入に使えるポイントの交換コードが入っている。ポイントは6千円分か1万円分で投入額を上回る。
行き先は、ピーチの福岡空港発着便がある新千歳、成田、関西、那覇、石垣の各空港のいずれか。運賃は行き先や時期によって変動するが、往復運賃全てをポイントでまかなうこともできる価格設定になっているという。
今夏、大阪に設置したのを皮切りに東京、名古屋と展開し、福岡が4カ所目。今月上旬には全国の累計販売が1万個を超えるなど、各地で話題を呼んでいる。
チケットには旅先で楽しめる「ミッション」も書かれ、実行した様子をピーチのSNSに投稿するよう呼びかけている。
新千歳行きのミッションの一つは「きゅうり持参で『河童(かっぱ)』とツーショット写真撮ってきて!」。河童伝説のある北海道の温泉を想定してのミッション。飛行機にきゅうりを持って乗り込んだり、河童の像と並んだりした写真がSNSには投稿されている。
旅くじを企画したピーチの小笹俊太郎さんは、コロナ下で航空業界が苦戦する中、「半分やけくそでした」と笑う。お客さんも社員も楽しい気持ちになれるものを、と考えたという。「どこに行かされるか分からないドキドキとワクワクがある。実際に利用した人からは『思ってもみないところに行って、新しい発見がありました』との声をもらっています」。
福岡に設置された今月14日、パルコの開店に合わせて一番乗りした福岡市の大学生、小松己知斗(みちと)さん(21)は午前5時50分にパルコ前に到着した。「福岡でもやってほしいと思っていた。ワクワクが止まりません」。大学に入ってから主にヒッチハイクで旅を楽しんできた。コロナでそれも中断しているが、「どこに行けるか分からないのが面白い。早く旅を楽しめるようになってほしい」と話す。(山田佳奈)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル