渡辺純子
42人の死者・行方不明者が出た九州北部豪雨から間もなく4年となるのを前に、被災地の福岡県朝倉市で27日、住民たちが「防災塾」を開いた。被災の痛みを知るからこそ次の災害に備えようと、土囊(どのう)作りや防災ゲームを体験した。
参加したのは同市杷木久喜宮(はきくぐみや)の約30人。小学校跡地に今春できた地域防災拠点施設を生かし、防災意識を高めようと、住民と支援団体が協議体「災防(サイボウ)グ」をつくって企画した。
まず「クロスロード」というカードゲームで避難について学んだ。「避難所に3千人いるが食料は2千人分しかない」「80歳の母がいるが深夜に避難指示が出た」。そんな時どうするか、それぞれが考え、意見を話しあった。
土囊作り体験では、袋を裏返す、土を入れすぎない、結び目を下に向けて積む、などのコツを学習。学生ボランティアも参加し、2人1組で作って積みあげた。コロナ対策として1人で作る方法も学んだ。
4年前、自宅に泥が入り1カ月避難したという内山育子さん(72)は「7月が近づくと戦々恐々だけど、心構えができた。土囊作りは1回やっておくと、いざという時に役に立つ」と話した。
塾はオンラインでも配信した。あと4回開く。災防グ代表の望月文(ぶん)さん(42)は「災害から4年経ち、後処理が一段落して、やっとここまで来た。災害前にこういうことをやっておくことが大事だと、被災地から発信したい」と話した。(渡辺純子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル