大日向寛文 市野塊
政府は、月内に復興の基本方針を改定し、東京電力福島第一原発事故に伴う除染で出た土壌の処理に、政府一体で取り組む体制を整備する方針を固めた。ほぼ白紙になっている2025年度以降の施策の道筋も立てる。除染土の処理が難航しているなか、対応を加速していく考えだ。
8日にあった被災県の知事や有識者らによる復興推進委員会に、基本方針の改定案を示した。
除染土は、福島県内の中間貯蔵施設で保管されているが、法律で、45年までに県外で最終処分することになっている。
除染土は東京ドーム11個分にあたる約1400万立方メートルにのぼる見通しだ。政府は、放射能の濃度が低い土を公共事業などで再利用することで、最終処分する量を減らしたい考えだ。
除染土の処分を担当する環境省だけでなく、国土交通省など関係省庁の協力が不可欠なことから、改定案は「政府一体となった体制整備に向けた取り組み」を進めることを明記した。関係閣僚会議を新設するなどの案が、検討されている。「県外での最終処分に向けた25年度以降の取り組みの進め方を示していく」とも記された。
政府が対応に本腰を入れるのは、「除染土がなし崩しで県内に置かれ続けるのではないか」との不信感が福島県で高まっているためだ。
除染土の再利用は、東京都の新宿御苑や埼玉県所沢市などの実証実験ですら、地元の反対で難航している。政府は近く国際原子力機関(IAEA)が実証実験の安全性について報告書をまとめるのを機に、国民の理解醸成を進め、再利用や処分の検討を具体化していく方針だ。(大日向寛文、市野塊)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment