東京電力福島第一原発事故で東海地方への避難を余儀なくされた住民らが国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(松村徹裁判長)は22日、国に責任はないとの判断を示した。昨年6月の同種訴訟を巡る最高裁の判断を踏襲した形だ。
判決は2002年に国が公表した地震予測「長期評価」について信用性があると認定。その上でこれに基づいて試算をすれば同年末には最大15・7メートルの津波の到来は「予見が可能だった」と指摘した。
国が東電に対策を命じた場合、防潮堤などの設置という対策がなされた可能性が高かったと判断。だが、実際の津波は想定よりはるかに規模が大きかったため、仮に設置していたとしても「事故が回避できたとは認められない」と結論づけた。
一方、東電に対しては住民120人に計約3億1900万円の賠償責任を認定。東電がこれまでに原告側に支払った計約2億4400万円を控除した約7500万円を住民89人に賠償するよう命じた。
判決を受け、原子力規制委員会は「事故を踏まえて策定された新規制基準への適合性審査を厳格に進め、適切な規制を行ってまいりたい」、東電は「判決内容を精査し、真摯(しんし)に対応してまいります」とコメントした。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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