制度の背景には、インターネットのように軍事技術が民間利用される「スピンオフ」だけでなく、人工知能(AI)や高性能素材といった民間技術が軍事応用される「スピンオン」の動きがある。中国は兵器開発に民間企業を参入させる「軍民融合」を国家戦略に掲げており、日本が取り残される懸念や、国内の研究者が中国の資本力に取り込まれる恐れが指摘されている。 ▽天文学と軍事技術 一見すると軍事研究と関係の薄そうな天文学だが、望遠鏡に使われる高性能の赤外線検出器が軍事技術から生まれたとされるように宇宙、エネルギー、物質科学分野と軍事技術の親和性は高い。最先端の設備や、優れた人材を抱える国立天文台は防衛省側からは魅力的に映る。18年度の公募では、遠い宇宙空間をゆがみなく観察する国立天文台のすばる望遠鏡に言及して研究課題を示した。 ただ制度に対しては、研究者らで作る日本学術会議が17年の声明で「政府による介入が著しく問題が多い」と批判。国立天文台も16年に一度は応募しない方針を決めたが、19年7月に常田佐久(つねた・さく)台長ら執行部が再検討を提案していた。機構は今年4月、各組織の意見を聞いて審議し、全組織の応募を認めない決定を下した。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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