「私はどこからきたのか?」
米国では、DNA検査によるルーツ探しが人気だ。
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《テーブルに向き合う祖父と孫娘。孫が語りかける。「おじいちゃん、もう一度あの話をして」。そこでナレーション。「全ての家族は、物語を持っています。このホリデーシーズンに物語を見つけるチャンスをプレゼントしましょう」》
2019年末、米国のテレビやネットには、家庭でできるDNA検査のCMがひっきりなしに流れた。
米国の大人の6~7人に1人が利用
医師や医療機関を通さず、消費者が直接受けられる検査は、DTC(Direct to Consumer)DNA検査と呼ばれ、爆発的に売れている。米メディアによると、利用したことがある人は2013年に33万人だったが、19年には約3千万人に。米ピューリサーチセンターによると、米国では大人の6~7人に1人の割合になるという。
米国は移民大国。およそ9割の目的は、自分の先祖がどこから来たのか、というルーツ探しだという。11月の感謝祭(サンクスギビング)や12月のクリスマスには、日本のお盆や年末年始のように、離れて暮らす家族が集まる。自然と家族のルーツが話題になる。プレゼントを贈り合うこともあり、DNA検査会社にとっては、格好の売り込み時期だ。
検査キットは100ドル(約1万円)程度で、ネットや店舗で手に入る。プラスチックのカプセルに唾液(だえき)やほおの内側の粘膜などの試料を入れて、送り返すと数週間で結果が届く。
ルーツ探しのために検査会社が調べるDNAは主に3種類。一つ目は、原則男性に受け継がれるY染色体を調べるもの。Y染色体を持つ男性が対象で男系先祖をたどる。二つ目は、母親から受け継がれるミトコンドリアのDNAを調べる。男女ともに調べられるが、たどれるのは母系先祖だ。もう一つの検査は、22対ある常染色体で、自身がどこの先祖集団からどのぐらいの割合で遺伝子を受け継いでいるかや、血縁の近さなどがわかる。
気軽に受けられる検査だが、思いもよらない結果を知らされることもある。
先祖は奴隷として大陸に来た 遺伝子が語る過去
「私を知らない人が、この結果を見たら、黒人のものだと思うでしょう」
米中西部ミズーリ州カンザスシティー近郊に住む、小学校職員デービッド・ジャクソンさん(50)は、アフリカ大陸が描かれたY染色体DNAテストの結果を見せながら話した。
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11歳の頃から家系図作りが趣…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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