卒業旅行で向かったのは山口市の湯田温泉だった。
汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
数々の絶唱を残して早世した詩人、中原中也(1907~37)のファン。温泉街にある、生家跡につくられた記念館がお目当てだった。ホテルに荷物を預けて早速出掛けると、そこに職員や報道陣が待ち受けていた。2018年1月、記念すべき70万人目の入館者になったのだ。
当時の市政だよりに、その時の喜びの言葉が載っている。
「高校1年生の時に教科書で中也の『骨』を読んで好きになった。中也と同じ大学に進学し、今日は卒業旅行として来たが、こんなことになり夢のようだ」
その嶋田莉子さん(31)は…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル