「1969年」への熱に浮かされている。
クエンティン・タランティーノ監督の最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を見てからだ。
映画の1969年と私が過ごした1969年は縁もゆかりもないのに、次第に重なっていった。
それって、映画の魔法じゃないかと思う。
あの映画では、巧みな音のサンプリングに驚かされる。
カーラジオから流れる、ロサンゼルスのラジオ局「93/KHJ」のジングルや音楽、CMは、私を一気に1969年のハリウッドへ飛ばしてくれる。
その感覚がなんとも心地よく、いつまででもスクリーンを見つめていたくなるのだ。
1969年には、ベトナム反戦運動やヒッピー文化、ウッドストック・フェスティバルなど、保守的でブルジョワなカルチャーに対する対抗運動なカウンター・カルチャーが台頭。ちょいと前まで整髪料で髪を撫でつけていた男たちはこぞって長髪に無精髭を生やし、街にはヒッピーたちが闊歩した。
そんな中、往年のスター、リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)と彼の専属スタントマン、クリフ・ブース(ブラッド・ピット)のバディたちが登場する場面からこの映画は始まる。
白黒テレビに映ったリックとクリフ。番宣に出演している二人は、お揃いの西部劇の衣裳で座っている。私は子どもの頃テレビで見た『ララミー牧場』の主題歌「ララミ~ララミ~草は青く山遠くここは西部の大草原~♪」を思い出す。
ハリウッドに居場所を失ったリックは、イタリアへ渡って「マカロニウエスタン」の役者になる。マカロニウエスタンとは、クリント・イーストウッド、バート・レイノルズ、ジュリアーノ・ジェンマが活躍したイタリア製の西部劇だ。
テレビの名画劇場で度々放映され、父が好きで見ていたことを思い出した。
この映画ではファッションも興味深い。
50年代にテレビの西部劇で活躍したハリウッドスターであるリックことディカプリオは、ウエスタンを基調にした革ジャケットに立て折りのスラックス、色味のあるモックネックシャツに、足元はウエスタンブーツ。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース