フェイスブックの広告をクリックすると、LINEのグループに誘われた。メッセージを送ってきたのは、あの村上ファンドの「村上世彰さん」だった。アイコンは「村上さん」の顔写真だった。
投資詐欺が増えています。なぜ、欺されたのか。気づくきっかけはなかったのか。警察の要望に応え、被害者が直接、語ってくれました
「(2カ月後の)12月末には、この会は閉めます。それまでに6千万円稼ぎましょう」。金(キン)の売り買いで利益が出るとの触れ込みだった。昨年11月中旬、500万円を入金した。
「村上さん」らに案内された専用のウェブサイトにも登録し、12月下旬までに計6回、数千万円を振り込んだ。サイトには入金した金額が反映され、自分で売り買いの操作もできた。
「村上さん」は毎朝、アメリカの株式や金の動向の解説メッセージを送ってきた。売り買いをする午後1時と午後8時にLINEで合図を送ってくれた。
LINEのグループには「30人」がいた。
「今日は利益が出た」「もうかったので家族と食事に行きます」――。そんな雑談が繰り広げられた。
自身も1回だけ、グループにメッセージを送った。周囲の反応はなかった。やりとりが一方通行。この小さな違和感に当時、福岡県在住で70代の無職男性は気づけなかった。
もう少しで1億円 「頭に血が上った」
専用サイトでは、運用資金の15~30%程度の利益が出たことになっていた。もう少しで1億円に届くところまで運用資金は増えているように見えた。
「頭に血が上っていた。まんまとだまされた」。男性はいま、こう語る。
2月末、男性は福岡県警本部の会見場に姿を見せた。県警に「投資詐欺被害の当事者として語ってほしい」と依頼され、引き受けたのだという。
チェックのシャツに鮮やかな…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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