聞き手・田中聡子
コロナ対策の給付金をめぐる裁判で、国は性風俗業について「本質的に不健全」と主張しました。しかし、人には「不健全なもの」への欲求もあります。「健全」な側が持つそんな欲求の対象となってきた歌手・タレントのミッツ・マングローブさんに、「不健全論」を聞きました。
健全な世界の「ガス抜き」役
性風俗産業に対して国が「不健全」という言葉を使うことに、さほど驚きはしません。国や政治が「お天道様」だとしたら、私のような人間も含め、「お天道様の下にはいない人たち」も存在する。日本は今はまだそういう国だと思います。
私がメディアに出るようになったのも、決してオカマが日の当たる存在になったからではありません。違う世界の人をのぞき見てみたい、自分たちが言えないことを彼らに代弁してもらいたい――。そんな健全な世界にある、窮屈な空気の「ガス抜き」みたいな存在として重宝されたから。
実は「健全」な側を利用してきたというミッツさん。子どもの頃からのコンプレックス、本当の「多様性」について、語っていきます。
利用し合う「健全な側」と「不健全な側」
でも、私はそれで食っている…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル