亡くなった稲盛和夫・京セラ名誉会長は私財200億円を投じてつくった稲盛財団を通じて、科学や芸術の支援にも力を入れた。「人のため、世のために役立つことをなすことが、人間として最高の行為である」という自身の理念に基づき、1984年、優れた科学者や芸術家をたたえる「京都賞」を創設した。
受賞者には、山中伸弥・京都大教授(2010年受賞)や本庶佑(たすく)・同特別教授(16年受賞)のように、後にノーベル賞に選ばれる人も多く、京都賞は「ノーベル賞の登竜門」とも評される賞に育った。
山中さんはiPS細胞につながる研究をしていた04年、稲盛財団から100万円の研究助成を受けた。以前の取材には「当時はまったく先が見えない時期だった。研究費もうれしかったが、それ以上に選んでもらったことが大きな自信につながった」と振り返っていた。助成金の贈呈式で、稲盛さんは研究者一人ひとりと握手を交わし「頑張ってください」と声をかけてくれたという。
受賞者を選考する委員長を務める榊(さかき)裕之・奈良国立大学機構理事長は京都賞について「ノーベル賞と近い構造を持っている」と説明する。宇宙科学や生物学など幅広い分野を対象としているからだ。「稲盛さんもノーベルも技術で成功し、思いが共通するところもあるのでしょう」と話し、「今後も京都のシンボルであり続けることが京都賞の使命だと思う」と語った。
ふるさと・鹿児島の芋焼酎片手に
鹿児島市出身の稲盛さんは郷…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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