東京地検特捜部は25日、日本での統合型リゾート施設(IR)事業参入を目指していた中国企業側から、現金300万円や約70万円相当の利益供与を受けたとして、収賄容疑で衆院議員秋元司容疑者(48)を逮捕した。特捜部による現職国会議員の逮捕は約10年ぶり。秋元容疑者は逮捕前、自身の関与を否定した。安倍政権肝いりのIR事業が、現職の与党議員を巻き込んだ汚職事件の舞台となり、政権が受けた傷は大きい。特捜部は関連先として、同党の白須賀貴樹衆院議員(44)らの地元事務所も捜索した。
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安倍政権が成長戦略の肝と位置づけるIR事業をめぐり、深刻な政界汚職が拡大しそうな動きを見せ始めた。
秋元容疑者の逮捕容疑は、IR事業に便宜を図ってほしいとの趣旨と知りながら、17年9月下旬ごろ、中国企業「500ドットコム」側から現金300万円を受け取ったほか、18年2月中旬ごろ、北海道への家族旅行の招待を受け、旅費など約70万円相当の利益供与を受けた疑い。
特捜部は、贈賄容疑で500ドットコム側の役員や顧問を務めていた鄭希(37)、紺野昌彦(48)、仲里勝憲(47)の3容疑者も逮捕した。
特捜部は4人の認否を明らかにしていないが、関係者によると、中国企業側の一部容疑者は、利益供与を認めているという。
秋元容疑者は17年8月から18年10月まで内閣府副大臣でIRを担当。現金を受け取ったとされるのは、副大臣就任の約1カ月後だ。就任直前の同8月には、那覇市で500ドットコムが開いたシンポジウムに出席。同12月には中国の本社を訪れ、経営トップと面会している。
秋元容疑者は、逮捕直前の25日午前、SNSで「不正には一切関与しておりません。そのことは、引き続き主張してまいります」とコメント。同日、本人と接見した弁護人は、容疑者が「一切身に覚えがない」と話したことを明かした。
現職国会議員の逮捕は、10年1月に政治資金規正法違反容疑で逮捕された石川知裕衆院議員(当時)以来だ。それだけに、永田町、特に自民党には衝撃が走っている。IR整備をめぐっては、野党の強い反対を押し切る形で法案を成立させた経緯があり、今でもギャンブル依存症が増えるとの懸念も強い。秋元容疑者の逮捕で、さらなるイメージ悪化は避けられず、安倍晋三首相の政権運営に狂いが生じるのは確実だ。
秋元容疑者の逮捕に続き、東京地検特捜部は25日、複数の自民党関係者にも捜索を広げた。千葉県印西市にある白須賀貴樹衆院議員の地元事務所のほか、宮城県石巻市にある勝沼栄明前衆院議員(45)の地元事務所をそれぞれ家宅捜索した。2人は17年12月、秋元容疑者とともに500ドットコム本社を訪れている。
秋元容疑者は東京都出身で、小林興起衆院議員の秘書を経て、04年7月に参院比例代表で初当選した。10年の参院選で落選したが、衆院にくら替えして12年12月、東京15区に出馬、小選挙区では落選したが比例代表で初当選した。現在3期目。野党系の柿沢未途議員と激しい戦いを続けており、17年衆院選で初めて小選挙区で柿沢氏に勝利した。16年9月、衆院内閣委員会の委員長として、IR法案の強行採決に踏み切り、法案成立に道筋を付けた。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース