20日からベトナムを訪問した秋篠宮ご夫妻が25日、帰国しました。同行した宮内庁担当の多田晃子記者が、交流の様子などをリポートします。
ご夫妻の側近によると、今回の日程は、「短時間でもいいから、色々な交流を深めたい」というご夫妻の意向を踏まえたもので、歓迎式典や表敬などの公式行事以外にも、多くの予定が盛り込まれました。
訪問中の写真も多数ご覧になれます
秋篠宮ご夫妻のベトナム訪問に同行した本紙の細川卓・フォトグラファーが各地で撮影したご夫妻の表情も多数ご覧いただけます。
《20日》
◆次女佳子さまに見送られ、お住まいを出発
◆羽田空港出発
◆ノイバイ国際空港到着
午後、政府専用機でベトナムに到着した。首都ハノイのノイバイ国際空港でタラップを下りたご夫妻は、アオザイ姿の女性から花束を受け取ると、出迎えた人々に笑顔であいさつをした。
◆日本大使主催の茶会に出席
在留邦人代表や国際協力機構(JICA)関係者らと対面した。
◆日本大使主催の夕食会に出席
大使公邸で大使夫妻の夕食会に出席した。
《21日》
◆ホーチミン廟(びょう)での供花
強い日差しが降り注ぐ中、ご夫妻は、ホー・チ・ミン初代国家主席の遺体が安置されているホーチミン廟に供花をし、拝礼した。
◆国家副主席主催の歓迎式典に出席
国家主席府に到着したご夫妻は、出迎えた国家副主席と握手を交わしてあいさつ。子どもから花束を受け取ったほか、関係者や日本とベトナムの旗を持った子どもたちの出迎えを受け、国家主席府の中へ。国家副主席との記念撮影に応じた。
◆国家副主席を表敬
◆ホーチミンの家を視察
ご夫妻で記帳をしたほか、コイにえさをあげた。
◆国家副主席主催の昼食会に出席
秋篠宮さまは「日本とベトナムの交流の歩みに思いをはせるとともに、これからの50年を担う人々と接し、改めて両国関係についての理解を深める機会にしたいと思います」と述べた。
◆残留日本兵の家族と面会
残留日本兵の11家族19人と対面した。一人一人と握手をして、涙ながらに日本への思いや苦難を語る家族の話に耳を傾け、「ご苦労されましたね」などと声を掛けた。
2017年に対面した上皇ご夫妻から当時の様子を聞いていた秋篠宮さまは、残留日本兵が日本に帰国後に築いた家族との交流を「今後も続けていきたい」とする話を聞き、「実現出来ることを願っています」と伝えたという。
◆文廟を視察
◆日越外交関係樹立50周年記念式典に出席
秋篠宮さまは、残留日本兵の家族の苦労に触れ、「元日本兵がベトナムで築いた家族と、帰国後に築いた家族との間で、今でも交流が続いている方がおられることを伺い、深い感慨を覚えました」と述べた。
《22日》
◆国家主席府を表敬
トゥオン国家主席を表敬。秋篠宮さまが招待への感謝を述べたうえ、天皇陛下からの「秋篠宮夫妻が貴国を訪問することが、両国の友好親善の増進につながることを心から願っています」との伝言を伝えた。
◆国家主席主催の昼食会に出席
秋篠宮さまは、外交関係樹立から50年を迎えた日本とベトナムは「あらゆる分野で良好な関係」とし、特に約50万人のベトナム人が留学生や技術者などとして日本で暮らし、「様々な形で我が国の経済社会を支えてくれています」とした。
また同時に、ベトナムで活動する日本人や日本企業の増加に触れたうえ、前日に面会した在留邦人が地域に溶け込んでいる様子を知ったとし、「両国国民の交流が更に深まっていることを実感いたしました」と言及。「現在に至るまで続く、両国の友好関係の礎は、古くからお互いが尊敬し合い、たゆむことなく交流を続けてきたことによるもの」としたうえで「外交関係樹立50周年を迎えた今日、この友好関係は着実に次世代に引き継がれております」と述べた。そして「若い世代の人々によって、両国の友好関係がますます発展することを期待しております」と述べた。
◆ハノイ日本人学校を視察
小学1年生のベトナム語の授業を視察した秋篠宮ご夫妻は、かがむようにして子どもたちと一緒に授業を受けると、秋篠宮さまは男児に「分かりますか?」と声を掛けた。ご夫妻が教室から出ようとした時、「あきしののみやさま、バイバーイ」の声。子どもたちからの思わぬ「お声がけ」に、秋篠宮さまは再び教室に戻ると、にこやかに手を振りながら「バイバーイ。どうもありがとうね。また会えるといいね」と返した。子どもたちとの気さくなやりとりが見えた一瞬だった。
◆日越大学を視察
パネルを使って活動内容を紹介する学生らと懇談。ご夫妻は熱心に耳を傾け、秋篠宮さまは「説明がとてもわかりやすかったです」と学生をねぎらった。懇談後には学長の求めに応じ、記念撮影に応じる場面もあった。
◆元日本留学生や元技能実習生らとの面会
宿泊先のホテルでは、日本で学んだ留学生や技能実習生ら計約55人と面会した。秋篠宮さまは「皆さんのご活躍をお祈りしております」などと声を掛けた。
◆外交関係樹立50周年記念・新作オペラ「アニオー姫」ハノイ初演レセプションパーティーに出席
◆外交関係樹立50周年記念・新作オペラ「アニオー姫」を鑑賞
鑑賞後は観客とともに立ち上がって盛んに拍手を送っていた。紀子さまは涙をぬぐうしぐさを見せた。側近によると、秋篠宮さまは「大変素晴らしかった」と話していたという。
《23日》
◆キムヴィエットを視察
紀子さまは、障害者を多数雇用する企業を訪れ、ベトナム語の手話で交流した。紀子さまは、「ありがとう」を意味する投げキスの手話を披露。側近によると、紀子さまは事前にベトナム語の手話をオンラインで熱心に学んでいたという。
◆自然科学大学生物学博物館を視察
秋篠宮さまは、上皇さまが皇太子時代に寄贈したハゼの標本や、自身の訪越時に寄贈された尾長鶏の剝製(はくせい)を視察した。ハゼの標本の前で、秋篠宮さまは「大切にして頂いてありがたく思っております」と話した。
◆絵本を広める活動をする日越の女性2人と懇談
紀子さまは訪問前、上皇后美智子さまから17年に対面した時の様子を聞いていた。絵本を広める活動をするレ・ティ・トゥ・ヒエンさん(45)と勝恵美さん(47)と懇談し、激励した。
紀子さまは、2人が手がけた絵本などを見て「懐かしいですね。子どもたちと読みました」と笑顔で話した。手に取ってページをめくったり、ベトナム語に翻訳したタイトルを読み上げたりしながら説明を受けた。「ベトナムの子どもたちに絵本を紹介し、絵本を作って下さってありがとうございます」と伝えた。
◆ノイバイ国際空港出発、ダナン空港到着
政府専用機で、ハノイからダナンへ移動した。
◆クアンナム省人民委員長と面会
◆ホイアン旧市街を視察
世界遺産で、かつて日本人町があったホイアン旧市街では、日本の協力で修復作業が進む「日本橋」や、歌手で俳優の杉良太郎さんのベトナムでの活動などを紹介した「日本文化の家」などを視察した。
出迎えた学生に手を振って応えたほか、訪れた人に気さくに声を掛けた。また、通り沿いの店に立ち寄ったり、パフォーマンスに手拍子を打ったり。スマートフォンでランタンを撮影するなどし、歴史や文化を堪能していた。
◆クアンナム省人民委員長主催の晩餐(ばんさん)会に出席
《24日》
◆ミーソン遺跡を視察
ダナン郊外にある世界遺産のミーソン遺跡を視察。ご夫妻は説明を聞きながら遺跡を見て回ったほか、最後に記念撮影をした。ミーソン遺跡に関連し、日本は約2・9億円の文化遺産無償資金協力をしている。
◆ダナン市党委員会書記と面会
◆ダナン市党委員会書記主催の昼食会に出席
秋篠宮さまが「日本とベトナムとの交流史に思いをはせるとともに、世界遺産に指定されているれんが造りの遺跡では、どのようにしてれんがを接着しているのかなど、興味が尽きませんでした」と述べた。
◆在留邦人と面会
ご夫妻は同日、在留邦人代表や国際協力機構(JICA)の関係者らと面会した。
◆ダナンがん病院元研修医との懇談
秋篠宮さまは、自身が総裁を務める済生会が、医療従事者の研修の受け入れをした病院の医師らと面会した。
《25日》
◆ダナン空港出発
強く降りしきる雨の中、ご夫妻は政府専用機に搭乗した。
◆羽田空港着
代替わり後、2回目となった国際親善のための外国訪問は、皇室の親善や平和への思いを引き継ぎ、皇嗣としての存在感を示す旅ともなった。(多田晃子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル