記者コラム 多事奏論 天草支局長・近藤康太郎
もう20年以上も前の話だ。
ある日、右耳に異音を感じた。ジリジリと小さな耳鳴り。生活に支障はないが、これでも音楽評論家なのでとても気になった。落ち込んだ。数カ月は暗い顔をして仕事していた。心配した雑誌編集長に病院を紹介されたり。いろんな治療をし、薬を飲んだが、いっこうよくならない。
そんなとき偶然、近所の町医者が不思議な治療をするといううわさを聞いた。秋の夜、小さな医院を訪れた。きちんと白衣で出てきた先生は、わたしの右耳をおおうように手のひらをかざした。だんだん熱を帯びてきた。かすかに電気が走った。
それでも耳鳴りは止まらない…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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