愛知、静岡、長野県境の山あいを走る飯田線。沿線には、人里離れた場所にある秘境駅がいくつもある。JR東海は、「訪れにくさ」に加え、沿線を知り尽くす乗務員らがその魅力を掘り起こし、体感してもらう戦略との「複線化」に乗り出した。
飯田線は、豊橋駅(愛知県豊橋市)と辰野駅(長野県辰野町)を結ぶ総延長195・7キロのローカル線だ。秘境駅への関心が高まるなか、JR東海は2010年から急行「飯田線秘境駅号」を運行。今年からは、新たな企画列車として急行「ディスカバー飯田線号」を走らせた。
5月の「1番列車」に乗車した。午前9時50分、列車は飯田駅(長野県飯田市)へ向けて豊橋駅を出発。間もなく右手に「飯田線へようこそ!」の横断幕が見えた。豊橋運輸区の乗務員ら20人以上が手を振って送り出す。
企画には豊橋運輸区の乗務員らのアイデアがふんだんに反映され、車内放送もいつもとは違った。
新城駅(愛知県新城市)を通過する際は、日本有数の規模を誇る軽トラ市が案内された。長篠城駅(同)ではNHK大河ドラマ「どうする家康」で岡崎体育さんの好演が光った鳥居強右衛門(すねえもん)について、東栄駅(愛知県東栄町)では化粧品の原材料に使われるセリサイトについて説明があった。
運転士も「アイドル」並みの注目を集めた。本長篠駅であった、列車を隣のホームに移動させる作業は、乗客を乗せたまま行われた。進行方向を変えるたび、四ツ門佳祐運転士(30)が運転台の移動で車内を通った。同僚の乗務員が「運転士がとても照れた顔で、みなさまの前を通らせていただきました」とアナウンスすると、乗客から拍手が湧いた。
このほか、乗務員が駅到着前に「まもなく○○駅です」と放送するタイミングの取り方を問うクイズをしたり、鉄道ファンから「ワイドビューチャイム」と呼ばれる4種類の車内チャイムが披露されたりした。
「移動楽しみながら魅力を感じて」 次は11月に運行
四ツ門運転士は「停車駅で一…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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