空いた病院、そのまま学校に 異例の居抜き計画が進行中

 移転で空いた病院を、支援学校の建て替えのための仮校舎として「居抜き」で利用する計画が、京都府内で進んでいる。調整は大詰めで、府教委は「同様の例は聞いたことはない。そのまま使える設備も多く、ありがたい」と話している。

 長岡京市の府立向日が丘支援学校は、同市を含む乙訓地域2市1町の肢体不自由や知的障害の児童生徒らが通う。一部2階建て平屋の現校舎は1967年の開校当初から使われており、すでに50年以上が経つ。

 老朽化に伴い、校舎の全面建て替えを検討していた府教委は、学校の敷地内に仮設校舎を設ける方法を模索。しかし、聴覚過敏の子もおり、解体や新築工事の工事音で児童生徒が体調を崩すおそれが懸念された。また、工事中は敷地内をスクールバスや送迎の車と工事車両が行き交うため、安全上の不安もあった。

 そこで、別の場所にいったん移転するための候補地を探していたところ、同校から約1・5メートル南にある済生会京都府病院(長岡京市)が、2022年に市内で移転する計画が判明した。

 府教委は23年夏にも病院に引っ越し、校舎の解体・建設工事を経て、27年夏にも元の場所に戻りたい考えだ。府教委と病院側は賃貸借について大筋で合意しており、詳細を詰めている。予定通り7階建ての病棟をそのまま借りることができれば、「まなびや」の延べ床面積は、約8500平方メートルから約1万7千平方メートルに倍増する。

 同病院は、バリアフリー化されている上に厨房(ちゅうぼう)や食堂もあり、給食にもそのまま使える。病室を教室として使う見込みだ。

 府教委は、体育館やプールなどの確保について、近隣の学校の施設を借りられるかどうかを含めて、地元の自治体とも協議したいとしている。(小林正典)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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