空港や港の「軍民両用」めざす政府 専門家「むしろリスク高まる」

 政府が防衛強化のための整備対象としてリストアップした空港や港湾は公表されていない。水面下で自治体への説明を始めた政府はメリットを強調するが、平時にどのように利用するかが見えないなか、自治体は困惑を隠せない。

 「南西諸島には、部隊運用上の有用性が高い空港や港湾もある。これらを整備し、自衛隊が利用できるようにすることが必要だ」

 木原稔防衛相は10月17日の記者会見で、空港や港湾といった公共インフラの「軍民両用(デュアルユース)」を進める重要性を訴えた。

 リストアップした空港や港湾については「調整している自治体名も含め、先方との関係もあるためお答えすることは困難」として明かさなかった。

 国家安全保障戦略など安保3文書の改定に向けて設けられた政府の有識者会議で昨年10月、黒江哲郎・元防衛事務次官が「公共の港や空港で、様々な関係団体の反対があり、なかなか自衛隊がアクセスできない現状がある」との認識を示した。

作戦の幅広がり、侵攻に対応 国民保護も 政府強調 

 委員からは「公共インフラは有事に国民を守る重要な機能を担う。軍用と民生に分けず、国力としての防衛力という観点で一体として運用すべきだ」など積極的な活用を訴える声が上がり、政府が「特定重要拠点空港・港湾」(仮称)を指定し、予算編成の「特定枠」も設けるとした。

 政府は、空港と港湾を整備すれば、有事には作戦の幅が広がることで敵国の侵攻に対応しやすくなるというメリットがあるとする。海上保安庁の大型船などが接岸できるようになれば、一度に多くの人を避難させることができるとみる。

「アメ」と引き換え 訓練など日常的な利用も求める

 一方、有事の際だけでなく、訓練など日常的な利用も求めるため、地元の協力が不可欠となってくる。

 政府は、地元に経済効果があるという「アメ」を用意している。

 空港の滑走路の延伸や駐機場

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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