文・佐藤恵子、写真・迫和義
越後のミケランジェロ――。そう呼ばれる芸術家が山里にあまたの作品を残した。150年ほど前のことだ。何者なのか。
越後にも「ミケランジェロ」と呼ばれる人がいた。故郷に偉大な芸術家の名にたとえられる人がいたと知り、代表作がある西福寺(さいふくじ)(新潟県魚沼市)へ向かった。
お堂に入り、小さくうなってしまった。5メートル四方の天井がびっしりと彫られ、鮮やかな色を放っていた。僧侶、曲がりくねった竜、もくもくとわき出る黒煙……。どれも立体的で、不思議と迫ってくるように感じた。
よく見ると、ほかにも生き物がいる。虎、亀……。口をあんぐり開けたまま見上げていると、平沢龍彦副住職(33)が教えてくれた。「あそこにワシやスズメも」。次々に「隠れキャラ」が現れ、面白くなっていく。
「越後のミケランジェロ」と称される石川雲蝶(うんちょう)が1850年代に完成させた大彫刻で、「道元禅師猛虎調伏(どうげんぜんじもうこちょうぶく)」と呼ばれる。曹洞宗の開祖・道元禅師が山で修行中に虎に襲われ、投げつけた杖が竜に姿を変える。そんな場面だ。「透かし彫り」という技法によって、浮かび上がるように見えるという。
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雲蝶は江戸で生まれ、仕事を…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル