笑いと汗が止まらない。講師は手も顔も、時に全身を激しく動かし、画面の向こうの参加者を笑かす。目指すは、壁を壊すこと。(花房吾早子)
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「点呼ターイム! 呼ばれたら大きく手を振ってくださーいっ」。講師の中川綾二(りょうじ)さん(31)が目と口を大きく開き、手話と声で画面に向かって呼びかける。2月8日夜、2回目のオンライン手話講座が始まった。
最初は手話体操。大阪体育大卒業の石田竜士さん(35)が、体操のお兄さん風に画面に登場した。ラジオ体操第一の曲が流れる。「さあ、みなさんご一緒に」。体を動かしながら前回習った手話を復習する。
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「いいよー」「ばっちりー」。2人と共に講師を務める岡﨑伸彦さん(38)が満面の笑みで参加者の手話を褒める。
1時間余り続いた講座の最後は、アップテンポの音楽に合わせ、手話の単語を反復練習。「嫌い、好き、嫌い、好き」「しない、お願い、だめー」。参加者たちは、手と顔をめいっぱい動かしていた。
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講座は、手話を使ったコントや歌などを舞台で披露する一般社団法人「手話エンターテイメント発信団oioi(オイオイ)」(大阪市)の主催。2005年、聴覚に障害のある人とない人が一緒に結成し、全国各地で公演してきた。現在、聞こえない15人、聞こえる28人がメンバーだ。
今回の講座で中心的な役割を担う中川さんは「暗かった僕が、人前で笑いをとるなんて思いもよらなかった」と話す。
大阪府豊中市の出身。聴覚に障害のある父(61)と兄(33)、健聴者の母(59)の元で生まれ育った。自身も生まれた時から聴覚障害があり、右は列車の音、左は大声を近くで感じ取れるレベルだ。家庭では唇の形を読み取り、声を出して伝える口話でお互いに意思疎通をとってきた。
市立の小中学校の普通学級に通…
2種類
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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