東海地方唯一の常設寄席の大須演芸場(名古屋市中区)で1日、新型コロナウイルスの影響で3月から休演していた「定席」が再開した。イベントなどで利用する「貸席」は6月に再開しているが、落語や漫才を行う「定席」の再開で、「芸どころ名古屋」を支える大須に笑いが戻った。
同演芸場を拠点とする落語の「雷門」一門が、「登龍亭(とうりゅうてい)」に亭号を改めたことに伴い、この日はお披露目の口上も行われた。本来は4月に予定していたが、新型コロナで延期に。登龍亭はかつて東京の噺家(はなしか)が名乗っていた亭号で、約120年ぶりの復活となる。
100人超の客を前に、一門のリーダー格の登龍亭獅篭(しかご)さんが第1部でトリを務め、おめでたい噺の「八五郎出世」を披露。コロナ禍で仕事が減った48歳の自分を「下り坂48現象」と称して笑いを誘った。終演後の取材に「ここに自分の居場所があったと感じることができた」と話した。
通常、定席は月に7日間開いているが、「試験的」に10月と11月は1日から4日までの計4日間に短縮。12月からは7日間に戻すことを検討している。マスク着用などの感染防止策をとっている。
演芸場通いが趣味の神奈川県逗子市の貸しビル業、織茂明彦さん(67)は一番乗りを果たした。「西と東の文化に名古屋の文化がぶつかる大須演芸場は非常に面白い。来てよかった」と喜んだ。愛知県豊田市の女性(49)は「寄席を生で見られるようになってよかった。文字通り、龍のごとくのぼってほしい」と話した。
新型コロナの影響で苦境に陥った演芸場は4月下旬からホームページで寄付を呼びかけ、これまでに1千万円ほどが寄せられた。今後も寄付への協力を求めることにしている。(岩尾真宏)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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