笑顔あふれる水族館 人気支える「ヲタク気質」な高校生館長の奮闘記

有明海水族館ものがたり㊤

 有明海に面する福岡県柳川市。城下町を巡る川下りで知られる掘割(水路)で、ふわりと放った投網が弧を描き、ピシャッと水面を打った。

 「お見事!」

 見物客の拍手を浴びたのは、掘割沿いに立つ「やながわ有明海水族館」の館長で、高校3年生の亀井裕介さん(18)。投網は、水族館で展示する魚の補充と館のPRを兼ねた「業務」だ。

 ニゴイにギンブナ、ヌマムツ……。素早く網をたぐり、捕れた魚を確認すると、絶滅危惧種ヤマノカミの姿がみえた。

 「マジか、すっげえ」と興奮しつつ、解説を始めた。

 「ここで千回は投げたけど、ヤマノカミは初めて。カジカの仲間で、海で生まれて川で育つ回遊魚。名前の由来は自分より醜いものが好きな神様に捧げられたからとか。でも、えらのオレンジ色がきれいでしょ」

 気付けば、周囲に人だかりができていた。

「川ガキ」から館長へ、きっかけは大水槽のジンベエザメ

「やながわ有明海水族館」は手作り感たっぷりの小さな施設ですが、新型コロナ禍による危機も乗りこえ、人気はうなぎ登り。そんな水族館の魅力を㊤㊥㊦の3本の記事でお伝えします。記事の後半には、掘割での魚とりの様子などを紹介する動画もあります。

 水族館は地元のNPO法人「…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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