「がちゃ」。庭の扉が開く、小さな音が聞こえた。
「あ、お母さんだ!」。家で宿題をしたり、ユーチューブでアニメを見たりしていた3~10歳のきょうだいが、玄関に向かって走り出した。
参院選の公示2日前、午後8時前に支援者へのあいさつ回りや選挙対策会議を終えて帰宅した母・小畑仁子(きみこ)(44)に、子どもたちがまとわりついた。
スーパーの宅配サービスで玄関先に届いていた10人分の食材を母ときょうだいで手分けして運んだ。
「この時間だと夕飯は9時になっちゃうよー」。長男の使い古しの学校ジャージーに着替えた母は、手早く米をとぎ始めた。大きな土鍋で毎回炊くのは6合分だ。
8人きょうだいの母・小畑仁子さんが立候補した参院選が公示されたのは6月22日。炎天下のなかで毎日10時間以上遊説を続ける母はみるみる疲弊し、子どもたちの心配は頂点に達します。「子どもたちの前では涙を見せない」と誓う母。長男は選挙の過酷さを知り、改めてその意味を考えます。
この日のメニューはゴーヤチャンプルにサラダ、買い置きしていた総菜のコロッケなど。料理の最中も、三女の十ノ子(そのこ)(4)や四女の叶寿子(かずこ)(3)らが次々と「ねーねー」「お母さん」と話しかける。
「子どもたちも寂しくて、甘…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル