2012年12月、山梨県大月市の中央自動車道笹子トンネル内で天井板が崩落し、9人が死亡した事故を受け、中日本高速道路(名古屋市)が東京都八王子市の同社敷地内に建設していた研修施設「安全啓発館」が完成した。4月から再発防止のための社員研修に使われるのを前に、遺族13人が25日、見学した。
館内には事故現場の実物大の模型や、3人の遺族から提供された遺品などを展示。亡くなった5人が乗っていたワゴン車も川崎市にある同社の施設から移された。遺族は、実際に崩落した天井板に触れたり、緩みが崩落の原因となった「アンカーボルト」の実物を手にしたりして、亡くなった家族に思いをはせた。
娘の友梨さん(当時28)を亡くした石川信一さん(71)は「完成してありがたいが、時すでに遅し。事故が起きてこうなったのは残念でならない。社員には危険性を予見するため、より一層研鑽(けんさん)をつんでほしい」と話した。
中日本高速によると、研修はグループ会社を含めた約1万1千人の社員を対象とし、5年で1巡する予定だという。(玉木祥子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル