算数、分かった! 学びがゆっくりな子が通う塾、その授業の秘訣は?

 障害があるなど、「学びがゆっくり」な子どもが多く通う個別指導塾がある。東京都武蔵野市の遠山真学塾。40年前の創立当初から、計算につまずいたり、文章題の解き方がわからなかったりする「算数が苦手」な子どもたちに寄り添う授業を展開してきた。どのような学びなのか。

遊びながら学ぶ

 11月の日曜日の午後、小学5年のみさとさん(10)が塾にやってきた。定位置に座ると、担当講師の千田悦代さん(48)に声をかける。「今日は、かけ算から!」。授業は、繰り返し練習をしてきた「7の段」の九九から始まった。

 机に「7×3=21」など、7の段の数式が書かれたカードを並べる。七つずつ増えていくタイルなどのイラストが描かれたカードと、答えの数字のカードをそれぞれ対応させていく。トランプを楽しむように、みさとさんは九九を音読しながらカードを動かす。

 「しちいちがしち、しちにじゅうし……」。途中でつまりそうになっても、イラストを見て数えながら、最後の「7×9」まで成功させた。一列にカードが並ぶと、「できた!」と満面の笑みを見せた。

理解するための工夫は

 その後は、苦手だった繰り上がり・繰り下がりのある計算に取り組んだ。「1と、9で、10!」「2と、8で、10!」……。自作のラップ調の歌を口ずさみながら、筆算を解き始めた。

 「11-3は……。10になるのは3と7だから……」「わかった! 8だ」。紙に書かれた筆算をすべて解き終えると、自分の赤ペンで大きな花丸を付けた。

 みさとさんは、小学校では特別支援学級に通う。入塾したのは1年生の夏。「数が1からだんだん大きくなる」という感覚を捉えづらい様子があり、母親は学校の授業ではカバーできていないように感じた。家で教えようとしたが、どこにつまずいているのかわからず、教え方が難しかった。

 塾では、具体物やカードを使…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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