新型コロナウイルスの感染拡大に伴いテレワークに移行する企業が増えていますが、一部では管理職の喪失感や社員のサボりが問題視されるという状況になっています。本来、仕事というのは成果で評価されるべきものですが、日本では時間で評価するという文化が根強く残っています。このあたりを変えていかなければ、テレワークの体制は長続きしないかもしれません。
これまでの「当たり前」が変わると…
これまで日本の企業では、チーム全員が同じ時間に出社し、皆の仕事が終わるまでは帰れないというのが当たり前でした。日本では仕事の成果ではなく、時間で社員を評価する傾向が強く、その結果として長時間残業が横行していたとされます。こうした状況で発生したのがコロナ危機です。
現場がある仕事はそもそも在宅での業務は不可能ですが、事務的な業務を行う事業所の一部は、コロナ危機をきっかけにテレワークに移行しています。これまで顔を見ながら仕事をしていた環境が一変したことで、様々な問題が発生しているようです。
人事評価システムなどを手がける「あしたのチーム」が行った調査によると、テレワークの導入によって管理職の30.6%が「人とのコミュニケーションがなくさみしい」と回答しています。一方、一般社員に対する調査では36.7%が「人間関係のストレスがなく気楽」、28.0%が「仕事態度に緊張感がなくなった」と回答しました。一般社員にも20%ほど「さみしい」との回答がありますが、全体的には、管理職は喪失感を感じる一方、社員はのびのびとテレワークをしているように見受けられます。
求められるのは企業の意識改革か
一部の企業では社員がサボるのを防ぐため、ソフトウェアを導入し、パソコンの前に座っている場合には「着席」、パソコンから離れている場合には「退席」というボタンをクリックして勤怠状況を管理しています。このソフトには、着席のボタンを押している時には、ランダムにカメラ撮影が行われ、本当にパソコンの前にいるのかチェックする機能もあるそうです。
一部の社員はテレワークをきっかけに仕事をサボるのかもしれませんが、パソコン上で監視するというところまでいってしまうと、かえってテレワークはよくないといった話に傾きがちです。コロナ危機以前から、働き方改革を実現するためには、時間ではなく成果で評価する体制に移行することが求められていました。こうした現実を考えると、もっとも重要なのはテレワークかどうかではなく、企業側の意識改革ということになるでしょう。
(The Capital Tribune Japan)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース