東京電力と東北電力の管内に初めての「電力需給逼迫(ひっぱく)警報」が出され、計画停電を避けるために節電が求められた22日、繁華街や官公庁は対応に追われた。新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」解除明け初日にもあたり、飲食店からは戸惑いの声も。東北地方は最大震度6強の地震があったばかりで、復旧に向かう中で負担が増す結果となった。
東京・新橋の焼き鳥店「山しな」は22日夕、店内の照明のうち、半分が消えていた。夜の営業に向けて焼き場の炭に火を入れていた店主の山科昌彦さん(47)は「少しでも節電しないと」。手元を照らす照明も暗いままだった。
22日は都内に出されていた新型コロナウイルス対応の「まん延防止等重点措置」が解除されて初の営業日。営業時間を午後9時までから通常通りの午後11時までに戻したが、節電要請が重なった。停電してエアコンが使えなくなったら、冷蔵庫内の温度が上がったら、換気ができなくなったら――。「ようやくスタートラインに立てたと思ったら、2~3歩後ずさりさせられた感じです」
東京・新宿の中華料理店「九龍本店」はこの日、約2カ月ぶりの営業となったが、店長の大川原啓吾さん(60)は「久々の営業で気合を入れていたのに」と節電要請に困惑気味だ。
普段から昼間は看板の明かりを消すなど余計な電力は使わないよう気をつけている。ただ、この日、都内は真冬並みに冷え込んだ。「今日は特に寒い。換気のために定期的にドアも開けるので暖房は消せない。これ以上減らすのは難しい」
官公庁でも暖房の設定温度を下げるなど、節電の動きが相次いだ。
電力業界を所管する経済産業省は22日朝に庁舎内の暖房をとめた。ロビーや廊下、室内の不要な明かりを消してエレベーターは間引き運転に。職員には省内で不要な電化製品の使用を控えるよう求めた。
農林水産省では省内の廊下の照明の半分を消し、残りの半分の明るさを2割減らした。使っていない事務室や会議室については消灯を徹底。個別空調のある部屋については、従来の設定温度である19度を超えないよう呼びかけた。担当者は「廊下がやや暗い程度で仕事に支障は出ていない」と話した。(藤野隆晃、本多由佳)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル