ファーストクラス並みのゆったりとした座席を備えたラグジュアリーバスで出勤するというイベントが話題になっています。あくまで企業が主催する限定イベントですが、米国では企業が出勤用のバスを用意するケースがありますし、日本でも一部の通勤電車では座席指定の導入がスタートしています。近年、通勤電車の混雑のひどさが話題になることが多くなっていますが、お金を払ってゆったりと通勤するというスタイルは定着するのでしょうか。
大型バスなのにわずか10席
イベントを主催したのは、食品大手のネスレ日本とケイエム観光バスです。このイベントは、ケイエム観光のラグジュアリーバスに乗って、池袋駅東口から東京駅八重洲口まで、コーヒーと朝食を車内で楽しみながら、ゆったりと通勤できるというもので、2019年12月に数回にわたって実施されました。
通常、大型観光バスは40席程度ですが、このバスには何と10席しかなく、シートは飛行機のファーストクラス並みです。車内には大型洗面台の付いた化粧室も完備されています。シートはリクライニング可能で、フットレストやスリッパもありますから、まさに優雅な出勤が可能となります。
今回の企画は、ラグジュアリーバスの認知度向上が目的ということで、このサービスが定常的に提供されるわけではありませんが、米国では企業が従業員に対してこうしたサービスを提供している事例があります。
無料バス急増で渋滞悪化との批判も
米IT大手グーグルは、サンフランシスコ市内から本社のあるマウンテンビュー(シリコンバレー)まで、WiFiなどを完備した大型バスを走らせ、社員は無料で乗車できます。かつては本社近くに住む社員が多かったのですが、シリコンバレー一帯は今や銀座よりも地価が高いといわれ、賃貸の家賃もうなぎのぼりで高騰しています。グーグルの社員はもっとも安い人でも1500万円以上の年収があるともいわれますが、あまりの家賃の高さから、サンフランシスコ市内の比較的、家賃の安いアパートに住む人が増加。こうした社員たちは、同社が提供する無料バスに乗り、朝食を食べたり、WiFiを使って仕事をするなど、通勤時間を有効活用しています。
日本でも一部の私鉄が、追加料金を払うことで座って通勤電車に乗れるサービスを提供しており、利用者の評判は上々です。WiFiが利用出来るところもありますから、グーグルのバスと同様、通勤時間を有意義に使えるでしょう。
もっとも、シリコンバレーではこうした無料バスの台数が急増し、これが渋滞を悪化させているとの批判が出ていますし、座席指定の車両も一定数以上、増えてしまうと、一般車両の混雑がさらにひどくなる可能性も否定できません。通勤地獄を解決する完璧な方法を編み出すのはなかなか難しいようです。
(The Capital Tribune Japan)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース