沖縄県うるま市の女性が米軍属の男に殺害された事件から28日で5年。県警で捜査を指揮した当時の幹部が朝日新聞の取材に応じ、事件の内幕を明かした。また防衛省の元幹部は、現場で対応にあたった経験を自戒を込めて語る。「東京からは見えない現実があった」
女性のスマートフォンの位置情報を頼りに、付近を通った車を捜していた。行方不明から2週間以上がたった5月16日夕。県警の捜査員が、米軍関係者を示す「Yナンバー」の車を持つ男を割り出し、自宅にたどりついた。男は、基地の外で暮らしていた。
今回取材に応じたのは、当時の捜査幹部の男性だ。男性のもとには、現場の捜査員から逐一状況が報告されていた。
男の自宅のテレビではちょうど、行方不明になった女性のニュースが流れていた。「あの件です」。捜査員が告げると、急に表情を引きつらせた。
3日後の朝、男を署に呼ぶと自供を始めた。しかし、男性には懸念があった。部下から、もう一つの報告があがってきていた。男に宛てて米国側からメモが届いた。米軍の管理下に入りたければいつ来てもよい――。そんな報告だったと記憶している。
米軍人・軍属が事件を起こした場合、日米地位協定は公務外だとしても、米側に身柄があるときは起訴までは米側が拘束する、と定める。凶悪事件に限り、起訴前の引き渡しの可能性もあるが、米軍の裁量にまかされている。
自国民守りたい米軍、拘束したい県警
「逮捕を急がねば」。基地内に入られてしまえば、捜査手続きに時間がかかる。全容解明の妨げになる可能性があった。
県内では米軍関係者による事…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル