より甘く、より大きく、日本一の味を――。一般的な栗の約2倍の糖度を持つ希少な栗が、愛媛県伊予市にある。ひとりの男性が改良に改良を重ね、じっくりと育てている。とびきり甘い秋の味覚は、偶然の出会いから生まれた。
全国3位の栗の生産量を誇る愛媛県。中でも、県中部の山間地にある伊予市中山町は、「中山栗」の名で知られる栗の名産地だ。歴史は古く、江戸時代、このあたりを治めていた大洲藩が3代将軍・徳川家光に献上して称賛された、との言い伝えが残る。
その中山町の佐礼谷(されだに)地区の集落から車で10分ほど。山に入ると、東側に向かって開けた斜面に栗の木が数十本植えられていた。
「栗は日当たりが大事だから」。栗を育てている中岡進さん(73)が畑を案内してくれた。
木の幹を見ると、途中で直角…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル