紀子さまご回答全文(上) コロナ「経済・社会に多大な影響」(産経新聞)

 秋篠宮妃紀子さまが11日の誕生日に際し、宮内記者会に回答された文書は次の通り。  --皇嗣妃という新たなお立場になられて2年目となりました。この1年を振り返ったご感想をお聞かせください。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、立皇嗣の礼が延期されたほか、多くの公務が延期や中止を余儀なくされています。そんな中、秋篠宮ご一家はオンラインを活用して様々な分野のご説明を受けられています。こうしたご活動についてのお考えや今後の方針についてお聞かせください。  「この1年をふり返りますと、まず、即位の礼とそれに関連する諸行事のことが思い起こされます。一連のお行事が無事に執りおこなわれたことを、大変よろこばしく思っております。即位礼正殿の儀をはじめとするお行事に参列された方々や、祝賀御列の儀や一般参賀などに集まられた多くの皆さまから寄せられたお祝いの気持ちに感銘を受けました。これからも宮様とご一緒に天皇皇后両陛下をお支えできますよう、努めて参りたく存じます」  「昨年の9月から11月には、アジアで初のラグビーワールドカップが日本で開催され、宮様とご一緒に開会式に出席しました。開催期間中には、東日本大震災で津波の被害を受けた岩手県釜石市を訪れました。釜石鵜住居復興スタジアムで復興支援に感謝する『ありがとうの手紙 #Thank You From KAMAISHI』を歌う小中学生の声や、街中で案内や通訳、震災の語り部として活躍していた釜石市民の姿は、地域の人々の心が込められた大漁旗がひるがえる光景とともに、忘れがたい思い出です。各地で、気迫に満ちた競技を見せてくれた選手とスタッフ、ボランティアなどの大会関係者、そしてサポーターが一体となった、素晴らしい大会でした」  「12月には、『全国育樹祭』が開催された沖縄県を宮様と訪問しました。首里城の正殿等が焼失するという大変残念な出来事の少し後で、沖縄県立芸術大学構内で説明を伺いながら、首里城方面を静かに望みました。歴史的な建造物の修復と再建、貴重な美術工芸品の収集、復元や保存にむけて、今も励ましや支援が寄せられています。私もこうした取り組みに共感しつつ、沖縄文化研究者で紅型(びんがた)の染色家でもあり、首里城の再建に貢献した鎌倉芳太郎氏についての本や資料を再び読み返しました」  「今年の1月には、『1.17のつどい-阪神・淡路大震災25年追悼式典-』に宮様と出席しました。震災後に作られ、歌い継がれてきた『しあわせ運べるように』の小学生による合唱と、災害を見つめ考える小中高生や、傾聴のボランティアをされているご遺族が語る言葉が胸に響きました。この震災の経験を一つの契機として、被災者や支援者の心のケアが国内外に広がっていることは、多くの人々の支えになっていることでしょう」  「また、今まで皇太子同妃両殿下(当時)がなさっていたお行事で、お代替わり以降に私が務めることになった行事もいくつかありました」  「昨年11月には、赤坂御用地内の赤坂東邸で初めて『母子保健奨励賞』の受賞者にお目にかかりました。心身に不安のある妊産婦・母親の支援、子どもの虐待の予防・早期発見、新生児の医療体制づくり、子どもの予防接種の普及、障害のある子どもの口腔治療などについて、受賞者から貴重なお話を伺いました」  「同じく11月におこなわれた「『日本賞』教育コンテンツ国際コンクール授賞式」に出席しました。この授賞式をきっかけに、幼い子どもが遊びながら学べる内容や、難しいテーマについて考えさせる内容など、多様な視点で作られている世界各国の教育番組を視聴しました。番組製作者や教育関係者のお話を伺う催しも、大変興味深いものでした」  「今まで、国際協力機構(JICA)の専門家からは、折にふれて赴任地における活動についてお話を聞いてきましたが、昨年からはそれに加えて、宮様とご一緒に、派遣される前の青年海外協力隊と日系社会青年海外協力隊の隊員に会い、また任期を終え帰国した隊員からの報告を受けるようになりました。今年はCOVID-19の拡大のため隊員の海外派遣が中止され、海外で活動していた隊員の多くは帰国していますが、現地とオンラインで連絡を取り合い、支援活動を継続している隊員や国内で活動する隊員もいるそうです。今できることに真摯に取り組んでいる若い力を、頼もしく思います」  「今年2月以降は、医療現場の困難に加え、暮らしのあらゆる分野で感染症対策が必要となり、経済・社会にも多大な影響を与えています。そのような中で、令和2年7月豪雨による広範囲にわたる災害がおこりました。80名を超える人が亡くなり、未だに行方がわからない人もいる状況です。また今なお千人以上が避難していると聞いております。気候が変化してきている近年、このような災害への対応について改めて考えさせられました。それとともに、避難所など人が密になりやすい場所においての感染症対策も大切な課題であると思います。さらに本年は例年より梅雨明けが遅く、夏は猛暑になり、熱中症によって命を落としたり救急搬送されたりした人が多数いました。9月に入った今も暑い日が続いており、人々の心身の健康と生活を案じております」  「皇室においても、このような中で、今年の春にお引き移りになった上皇上皇后両陛下がお健やかにお過ごしになることを心より願っております。また、齢を重ねられた常陸宮同妃両殿下、ならびに三笠宮妃殿下のご健康を願っております」  「この春からは、世の中の多くの催しが中止や延期となりました。現在は、開催される行事の形を工夫しながら少しずつ再開しているものもありますが、感染症によってさまざまな活動が制限されています。その一方で、テレワークや、オンラインによるシンポジウムなどへの参加、動画配信など、WEBの利用が進み始めています」  「私たちの日々の活動において、オンラインを利用する機会が多くあります。たとえば、私たちが毎年出席をしていた全国高等学校総合文化祭『2020こうち総文』が、『WEB SOUBUN』という形で、10月末まで開催されており、8月上旬にライブ配信された総合開会式を宮様と長男と一緒に視聴しました。後日、従来通りの実施は叶わない中、情報通信技術も活かして立派な開会式を作り上げた生徒実行委員の代表や各部門の参加者数名と、画面越しですが、お話をすることができました。その機会に説明を受けた部門をはじめ、次々に公開される作品やパフォーマンスをオンラインで少しずつ視聴できることはうれしく、熱心に取り組んでいる全国の高校生たちに、心を動かされています」  「また、このたびの感染症の拡大について、オンラインで様々な分野の専門家からのお話を家族で伺い、私たちが理解を深める大変ありがたい機会と感じております。準備をしてくださった資料や説明から、現場の困難な状況や努力の様子などがよくわかりました。私が携わっている結核予防会と母子愛育会からも、資料や電話のほか、オンラインでも報告を受けました」  「国境を越えた交流をオンラインでおこなえることも実感しました。国際結核肺疾患予防連合が開催したオンラインセミナーでは、世界各地からの参加者の発表や質疑応答を視聴することができました」  「このように、オンラインは遠方の人も含め、自宅や学校、職場から離れずに参加することができ、コミュニケーションの可能性を広げていると感じます。その一方で、一般的な情報通信機器を使うことが難しかったり、その使用によって疲労感が増したりする人もいると聞いており、気にかかっています。直接会うことの良さは多くありますので、状況に応じた豊かなコミュニケーションのあり方について、今後も考えていきたいと思います」  「感染症と向き合ってきた医療従事者や、災害対応の関係者、社会を支えるさまざまな仕事に従事する人々に、深く感謝しております。早く感染症の状況が落ち着いて、人々が安心して集い、働き、学び、おだやかに暮らせる日の来ることを願っております」  《(下)に続く》 

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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