大阪市淀川区で新設されたビル型の納骨堂をめぐり、市が出した経営許可の是非を周辺住民が裁判で争えるかが問われた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は9日、「周辺住民には裁判で争える『原告適格』がある」との判断を示した。裁判官5人の全員一致の意見。
今後、市の許可が妥当だったかどうかを、大阪地裁が改めて審理する。
納骨堂の経営には、墓地埋葬法に基づき、知事や市長らの許可が必要だ。今回の訴訟は、納骨堂から100メートル以内に住む住民らが2017年に起こし、「経営する宗教法人の活動実績は乏しいのに、市は精査せずに許可を出した」などと訴え、許可取り消しを求めた。
同種訴訟では、「自治体の許可は公益的見地から行われ、個別の住民の利益を保護していない」として周辺住民の原告適格を否定する最高裁判例がある。大阪地裁はこれを踏襲して住民の訴えを却下したが、大阪高裁は一転して原告適格を認め、審理を地裁に差し戻す判決を出した。
第三小法廷は、二審と同様、経営許可に関する市の規定に「人家からおおむね300メートル以内にある時は許可しないが、付近の生活環境を著しく損なうおそれがない場合には許可できる」とある点に注目。「住民が平穏に日常生活を送る利益を保護する趣旨だ」と述べ、住民には裁判で争う利益があると判断した。
「住民の扉を開いた画期的判決」
宇賀克也裁判官は個別意見で…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル