高齢化に伴う過疎化や相次ぐ災害などを背景に、多くの博物館が収蔵庫不足の問題を抱えている。資料の収集と保存は、博物館の重要な役割。だが、年々増える寄贈で資料を保管するスペースが埋まり、学芸員は「博物館の本来の役割が果たせなくなってしまう」と頭を悩ませている。
日本博物館協会が全国の博物館を対象に実施した調査によると、収蔵庫がほぼ満杯状態、または入りきらない資料があると回答した館は2004年から増加傾向にあり、19年には5割以上に達した。協会は、展示室の面積を広く取る一方、収蔵庫などバックヤードの面積を抑える設計をしていたり、収集計画を明確にしないまま設立したりした結果、満杯状態になった博物館も多いと分析する。
記事の後半では、収蔵庫の逼迫(ひっぱく)に悩む各地の博物館の状況を紹介します。スペースの確保や対応策にはどんな課題があるのか、迫ります。
熊本城の敷地内に立つ熊本博物館(熊本市)は1952年の設立以来、12万点以上の文化財などを収集してきた。近年は世帯主の死亡増や遺品を事前整理する終活に伴い、家に眠っていた文化財の寄贈の相談が増えた。県内に大きな被害をもたらした熊本地震も申し出の急増を後押しした。
発売初期のテープレコーダーなども寄贈相談
同館では寄贈の相談を受けれ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル