今国会の最重要課題となっている日米貿易協定の承認案が15日の衆院外務委員会で可決され、19日に衆院を通過する見通しが立った。12月9日の会期末まで3週間余りとなる中、焦点は憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案の成立に移りつつある。終盤に向けて与野党の攻防は激しさを増しそうだ。
「改正案の採決を強行すれば、国会は荒れるだろう」
自民党幹部は15日、終盤国会の運営について、不安げにこう語った。
改正案は昨年の通常国会に提出されて以降、4国会にわたって継続審議となっており、与党は今国会での成立に不退転の決意で臨んでいる。
審議する衆院憲法審査会は7、14両日に自由討議を行い、与野党の合意による円満な運営が復活したが、改正案の採決には野党が反対姿勢を崩さない。
改正案を会期内に成立させるには、21日に衆院憲法審で採決し、参院に送付する必要がある。会期末までに参院憲法審を開く回数が限られるからだが、与党幹部は「憲法審で採決を強行すれば野党が反発し、協定承認案の審議に波及しかねない」と懸念を深める。
日米貿易協定について、米側は来年1月1日に発効させる意向を表明しており、政府は足並みをそろえるため、年内の承認にこだわってきた。与党が円満な国会運営を心がけてきたのもそのためだ。
政府・与党は波乱の芽が出るたびに早期の幕引きを図ってきた。菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相は、週刊誌で本人や家族の公職選挙法違反疑惑が報じられた直後に辞任した。大学入学共通テストに導入される英語民間試験は野党が導入中止を求めたことも念頭に、萩生田光一文部科学相が導入延期を決めた。
現在、野党が追及を強める首相主催の「桜を見る会」も来年度の開催中止を決めたが、主要野党は安倍晋三首相が多くの後援会関係者を招いたことを「公的行事の私物化」と批判し、追及を先鋭化させている。
首相は15日夕、首相官邸で異例となる約20分も記者団のぶら下がり取材に応じ、一連の経緯に問題がないことを説明した。ただ、野党側は衆参両院の予算委員会で集中審議を開き、国会で説明責任を果たすよう求めている。
政府・与党には短期間の会期延長論も浮上するが、年末には首相の外遊日程や予算編成も控えており、難しい判断を迫られている。(大橋拓史)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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