国内最大の指定暴力団山口組の分裂から4年あまり。同組と神戸山口組との抗争激化を背景に、警察当局は「特定抗争指定暴力団」への指定に踏み切ることになった。これにより組織の活動は大幅に制限されるが、警戒区域外に拠点を移す動きもあるといい、警察当局は引き続き動向を注視する構えだ。
指定後、6府県10市に及ぶ警戒区域では、おおむね5人以上の組員が集まる▽事務所の新設▽事務所への出入り▽対立組織の組員へのつきまとい▽組員の自宅や事務所付近をうろつく-などの行為が禁止される。違反があれば、警察は即時に逮捕することが可能。ある捜査幹部は「飲食店で組員が集まるだけでも摘発できる。大きな制約になる」と話す。
組の資金獲得活動である「シノギ」にも影響が出るとみられる。キタやミナミなどの繁華街を抱える大阪市には両組織の組事務所が複数あり、重要なシノギの拠点とされるが、警戒区域に指定された。捜査関係者によると、大阪での勢力拡大を狙っていた組織もあり「歯止めをかけられるのでは」と期待する。
両組織は昨年から対立が激化。昨年8月、神戸市内で山口組系組員が事務所前で拳銃で撃たれ重傷を負い、兵庫県警は同12月、実行犯として神戸山口組系組長の中田浩司被告(60)=殺人未遂罪などで起訴=を逮捕した。同10月には神戸市内で山口組系組員が神戸山口組系組員2人を射殺。11月には兵庫県尼崎市の繁華街で、山口組系元幹部が殺傷能力の高い自動小銃で神戸山口組系組長を射殺する事件があった。
指定の効力は3カ月だが、警察当局が「人の生命または身体に重大な危害が加えられる恐れがなくなった」と判断するまで何度でも更新できる。平成24年12月に指定された道仁会と九州誠道会のケースでは、半年後に両組織が対立抗争終結を宣言する文書を福岡県警に出し、九州誠道会は解散届も提出。以降も抗争事件は発生しなかったが、解除されたのは指定から1年半後だった。
別の捜査幹部は「完全に活動が止まったと判断するまでは何度も指定を更新できるので、組織への影響は大きい」と指摘。ただ捜査関係者によると、すでに一部地域では警戒区域外に組員が流れ、活動拠点を移しているとの情報もある。警察当局は今後、こうした動きが確認されれば、警戒区域を追加指定することも視野に警戒を続ける。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース