両親が先日、「ダイヤモンド婚」の記念日を迎えた。60年前に結婚したとき、2人とも姓を変えていない。それぞれ「井田」姓だったからだ。
母は当時、国家資格になって間もない美容師免許をとっていて、いつか自分の名前で店を開きたいと考えていた。「『婿養子』をとらない限り、女性は結婚で姓が変わるもの」と思われていた時代。一生、自分の姓を貫けるとは思っていなかったが、父とお見合いして、「今のお免状の名前のままでいいんだな」と内心、ほっとしたという。
同姓同士であれ、婚姻届に夫婦どちらの姓を使うかを記し、そちらが「戸籍筆頭者」になる点は同じだ。とはいえ、現実に姓を変えずに済んだ母には、思ってもみなかった「突破口」だった。
時を経て、人々の生き方や結…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル