東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5)が虐待の末に死亡したとされる事件で、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親の雄大被告(34)の裁判員裁判が1日、東京地裁で始まった。雄大被告は生命の危険を認識した時期について争う姿勢を示したが、「ほかは間違いありません」と起訴内容を大筋で認めた。
冒頭陳述で検察側は、雄大被告は結愛ちゃんに対し、朝4時台に起きて勉強するなどの指示を出し、できないとシャワーで冷水をかけるなどの暴行をしたと説明。異変が生じても虐待の発覚を恐れて医師の診察を受けさせず、遺体には約170カ所の傷があったと指摘した。
弁護側は雄大被告の虐待は決して許されるものではないとしつつ、血のつながっていない結愛ちゃんの父親になろうと真剣に考えた末に、「勉強ができないといけない」といった独自の子ども像を押しつけるようになったと説明。検察側は実子の弟が生まれた頃から暴行がひどくなったと指摘したが、連れ子が邪魔になったという短絡的な事件ではないと主張した。
起訴内容は、母親の優里(ゆり)被告(27)=一審判決は懲役8年で控訴中=とともに昨年1月下旬から結愛ちゃんに十分な食事を与えず、2月下旬には極度に衰弱したのに気づきながら病院に連れて行かず、3月2日に敗血症で死なせたというもの。このほか、2月下旬に結愛ちゃんの顔面を多数回殴るなどしてけがを負わせた傷害罪、3月に自宅で乾燥大麻2・4グラムを持っていたという大麻取締法違反の罪にも問われている。
優里被告の公判は先行して開かれ、9月17日の東京地裁判決は雄大被告の暴力を結果的に容認して結愛ちゃんを死に至らせたと認定。弁護側が主張した、雄大被告による心理的DV(家庭内暴力)の影響は限定的だとしていた。(阿部峻介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル