国土交通省による基幹統計の書き換え問題で、政府が国会で「修正済み」と説明してきた2020年1月以降の統計にも、複数の自治体で書き換えられたデータが含まれ、二重計上になっていた疑いがあることがわかった。同省は会計検査院の指摘後、都道府県に書き換えをやめるよう指示したが、徹底されていなかった。同省はこうした経緯を把握しながら放置し、事実と異なる答弁をしていた可能性がある。
同省は先月の臨時国会で、自治体に書き換えの取りやめを指示した後は、本省職員が昨年3月まで書き換えをしていた一方で、並行して適切な方法でも集計していたと説明。これを踏まえて政府は、統計は正しく修正されているため、補正予算の審議には影響しないと説明していた。
この統計は「建設工事受注動態統計」。業者から数カ月分の受注額が記された調査票がまとめて提出された場合、国交省の指示を受けた自治体がその数カ月分を全て合算し、最新1カ月の受注額のように書き換えていた。13年4月からは、未提出の月はほかの業者の平均値も計上するようになったため、受注実績の二重計上が生じていた。
検査院から19年11月に問題を指摘され、同省は20年1月8日、書き換えをやめるよう都道府県にメールで指示した。しかし、朝日新聞の取材に対し、複数の県が20年1月以降も数カ月にわたり書き換えを続けていたことを認めた。国交省の指示がメールだけで、文書が出されていなかったため、指示があったことに気づかなかったり、伝わらなかったりしたという。
複数の自治体職員によると、国交省は今月に入り、書き換え問題が明らかになったことを踏まえ、全都道府県の担当者を対象に説明する場を設けた。その際、20年1月以降も都道府県で書き換えが行われていた疑いについて、改めて調査する旨が伝えられたという。
指示後も一部の自治体が書き換えを続けていた疑いについて、同省建設経済統計調査室は昨年8月から12月にかけての複数回の取材に「情報は把握している」と回答していた。同調査室に11日に改めて尋ねたところ、都道府県向けの説明会を今月実施したと認めたうえで、内容については「検証委員会において検証が進められているため差し控える」と回答した。
統計不正をめぐっては、政府の検証委員会が調査中で、1月中旬に報告書をまとめるとしている。(伊藤嘉孝、柴田秀並、岡戸佑樹)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル