累計発行部数900万部を超え、子どもたちに親しまれてきた絵本「だるまさん」シリーズの作者、かがくいひろしさん(1955~2009)の没後初めてとなる大回顧展が15日から、長野県岡谷市のイルフ童画館で始まる。原画約300点や多数の制作資料を集めて展示し、その人柄と魅力に迫る内容だ。
かがくいさんは千葉県で特別支援学校の教員を続けながら、50歳で作家デビュー。病気で急逝するまでわずか4年間の活動で、絵本16冊を出版した。
作品の主人公には、食べ物や日用品をユーモアあふれるキャラクターとして描くことが多く、丸みを帯びた優しいタッチが特徴だ。「だるまさん」シリーズは、ほのぼのとした雰囲気のキャラクターを、様々な動きや「どてっ」「ぷしゅーっ」といった擬音とともに表現。赤ちゃんに読み聞かせるファーストブックとしても人気がある。
今回の企画展では、「おもちのきもち」「もくもくやかん」「まくらのせんにん」といった既刊絵本の全作品を、前後期に分けて展示する。
また、未完作品「快便うんこマン」などのラフ画、キャラクターのアイデアノート、かがくいさんが教員時代に生徒に絵本を読み聞かせる映像記録など、制作過程の理解に役立つ資料も初公開する。
同展の企画に携わった堀川佳子さんは「かがくいさんは障害児教育の現場で、どうしたら子どもたちが反応してくれるかを常に考えてきた人。だから、言葉の分からない赤ちゃんが大笑いする作品を生み出せたのではないか」と話す。
同展は9月16日まで(祝日を除く水曜休館、8月1~4日は展示替えのため臨時休館)。入館料は一般510円、中高生310円など。(佐藤仁彦)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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