小川智
森林伐採などで絶滅が危惧され、地域によっては絶滅危惧種に指定されていることもある菌従属栄養植物のヒナノシャクジョウが、大阪府河内長野市の山中で見つかった。動植物が好きで、よく同市内を散策する同市在住の熱川英明さん(71)が見つけた。
緑の葉を持たず、自分では光合成をせずに土中の菌から栄養を得て生きている。土中からわずか約3センチの茎をのぞかせ、白い花も8ミリと小さい。その姿が僧の持つ鉄の輪のついた杖「錫杖(しゃくじょう)」に見立て、全体的に小さいことから「雛(ひな)の錫杖」という和名がついている。
ヒナノシャクジョウは花の時期以外には見つからないこともあり、確認例が少なく、大阪府下での実態は十分にわかっていない。
写真からヒナノシャクジョウと確認した大阪市立自然史博物館学芸員の佐久間大輔さん(53)は「菌従属栄養植物は、土壌中の菌類を含めて生態系の豊かな場所でしか生きられない。河内長野の森の豊かさを示す貴重な発見」と話している。(小川智)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル