注目すべきジャーナリズムを市民の視点から選ぶ「ジャーナリズムXアワード」(ジャーナリズム支援市民基金運営)。最高賞に次ぐY賞を昨年、地域ウェブメディア「ニュース『奈良の声』」が受賞した。13年前から記事を書いてきた発行者の浅野善一さん(62)=奈良県大和郡山市=は、「少人数で細々と、でも、確信を持って取り組んできたことが初めて評価されたのかな」と振り返る。
奈良新聞の記者だった。30代後半から、記者を束ねるデスクを任された。責任ある仕事にやりがいを感じつつも、取材現場に戻って自ら書きたいという思いが消えなかった。退社を決意したのは、48歳だった。
ちょうどその頃、米国では新聞社が不況にあえぐ中、非営利組織を母体としたメディアが次々誕生し、調査報道で成果をあげていた。「ささやかでもいいから自分もやってみよう」。2010年5月、手探りでウェブサイトを立ち上げ、記事を配信し始めた。
「新聞記者」でなくなった自分に取材相手は応じてくれるだろうか。最初はそんな不安もあって、「ニュース奈良の声とは……」と少々長い前置きを繰り返した。
だが、杞憂(きゆう)に過ぎ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル