大阪府と大阪市のトップを地域政党「大阪維新の会」が占めるようになって10年。選挙の街頭演説などで維新は府市の財政再建の成果を訴えるが、府市の財政はどう変わったのか。
「我々は大阪の再生と成長をずっと掲げてきた。大阪市も大阪府も、着実に財政状況はよくなっている」
2月16日、大阪維新前代表の松井一郎氏は、大阪市長として新年度予算案を発表する記者会見でそう語った。会見場で配られた資料には、2028年度に大阪市が国の普通交付税に頼らない「不交付団体」となる可能性が記されていた。不交付団体は、税収が恵まれた東京都など一握りの自治体に限られる。
さまざまな指標はたしかに改善している。松井氏が「一番重要なポイント」と話す経常収支比率。100に近づくほど財政が硬直化しているとされるが、大阪市の場合、2004年度に103・6%まで上昇していた。それが、19年度には93・4%まで改善し、政令指定市の平均97・3%を下回る。固定費の割合が減り、お金を自由に使える裁量が増える。
市の貯金にあたる財政調整基金は22年度予算で2118億円まで増えた。コロナ禍ではこれを財源に、公立小中学校の給食無償化を打ち出した。
松井氏は同じ会見で、「ありとあらゆる改革を通じて、スリムな筋肉質な体質に改善した」と強調した。ただ、財政状況の改善は、維新の力だけによるものとは言い切れない。
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大阪府市での施策を「実績」として訴え、昨秋の衆院選と今夏の参院選で議席を伸ばした維新の会。維新が大阪府知事、大阪市長のダブル選挙を制してから10年で、大阪はどう変わったのか。「副首都」「民営化」「財政」の三つの側面から検証します。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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