新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相は4月7日にも「緊急事態宣言」を発令すると発表しました。
この宣言を受けて、都道府県知事は、より具体的な期間や区域を定めて、みだりに外出しないこと(外出自粛)や多くの人が利用する施設の使用制限を要請・指示することができるようになります。
では、期日が予定されている刑事裁判や民事裁判などは、どうなるのでしょうか。
最高裁は4月6日、弁護士ドットコムニュースの取材に「基本的には裁判体ごとの判断になる」とした上で、「現時点で決まっていないが、『新型インフルエンザ等対応業務継続計画』(平成28年6月1日)に類するような形で、考えていくことになる」と話しました。
この計画では、特に緊急性の高い保全に関する事務、DV事件、人身保護に関する事務、令状・医療観察事件に関する事務などは継続され、民事訴訟や刑事公判、家事審判・調停などは、優先順位をつけ、低いものから縮小または中断するとしています。
●「長野から東京まで行くのはとても悩ましい」
判決公判を前に、判決日の延期を求める声も出ています。
4月23日に東京高裁で控訴審判決が予定されている「特養あずみの里」事件支援者の湯浅ちなみさんは「この時期に長野から東京まで行くのはとても悩ましい。判決公判の延期を考えてほしい」と話します。
業務上過失致死罪に問われた准看護師の女性は、現在も施設に勤務しており、もし感染者が出たら施設が閉鎖することもありえると言います。
湯浅さんは「支援者の多くが医療や介護現場の方々なので、各地から集めるというのは危機管理上とても難しい。しかし、公判が開かれるのであれば、原告の女性含めて関係者が行かないというわけにもいかない」と判断に迷っています。
●既に日程調整やオンライン会議も
弁護士は業務継続計画をどう見ているのでしょうか。
高橋裕樹弁護士は「既に裁判所からは、勾留されている刑事事件の公判前整理手続きや倒産事件の日程調整について話があった。緊急事態宣言が出たら、ドラスティックに動いていくのではないか」と話します。
神尾尊礼弁護士は「特に人の生命に関わる事案やタイムリミットが厳しく定められている令状、一部の少年事件や医療観察事件が優先されるのは当然」としつつ、家事調停・審判がやや優先度低めに設定されていることについて「婚姻費用などのうち切迫したものについては、手続の選択を考える必要がある」。また、刑事事件のうち逮捕勾留された事件では、保釈などの運用を柔軟にすることも重要」と話します。
今後については、オンライン会議など対面以外の方法も鍵になりそうだ。現時点でも当事者一方が裁判所に出頭する電話会議や両方の当事者ともに出頭しないteamsでの会議は実施されているという。
神尾弁護士は「設備などの都合により全国的な足並みは揃っていませんし、同じ裁判所内部でも温度差があるのが実情です。また、押印や提出は後日で良いとするなど、運用面も弾力化してほしいと思います」と柔軟な対応を求めました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース