九州一の歓楽街、福岡・中洲からきらびやかな明かりが消えて久しい。中洲にある飲食店のうち約140店が加盟する中洲料飲組合の事務局は「お酒が出せるようになって、飲食店のみなさんの雰囲気が明るくなる。ただ、営業時間短縮要請がまだ続くので喜びも半分だと思います」と話す。
雑居ビル7階のスナック「Mercy けいこ」では、ママの中野麻美さん(41)が営業再開に向けて店内を磨き上げていた。緊急事態宣言の解除が決まったことに少し安堵(あんど)したが、時短要請が続くと知り、「もうしばらくの辛抱ですね」。
本来の営業時間は午後7時~午前1時で、午後9時~11時がかき入れ時だ。午後9時まででは仕事にならず、店を閉めてきた。今年に入って営業できたのは計2カ月ほどしかない。今回も時短が求められる間は休まざるをえないと考えている。
店を開いて35年目になる麻美さんの母、恵子さん(68)は「真っ当にやろうと毎回、要請に従ってきました。でも、飲食店ばかりこげんやり玉にあげられて、失望と不信感しかありません」とこぼす。
中洲には、昼の仕事と掛け持ちして働くシングルマザーも多い。生活に困らないようにと、恵子さんは休業中もアルバイトの従業員に給料を払ってきた。だが家賃が高い中洲では県の協力金だけでは足りず、恵子さんは貯金を取り崩し、金融機関から融資も受けた。77歳まで借金を背負うことになった。
「お店は、思い切り愚痴をはき出し、明日の仕事への活力を取り戻してもらう場所」。麻美さんはそう誇りを持ち、店に立ってきた。だが、コロナ下で「この仕事が『不要不急』のように扱われ、とても傷つきました」と話す。恵子さんは、店の事情を知らない近所の人から「休んでお金もらえるなら、もう仕事に行きたくないやろ」などと言われたこともあったという。
休業や時短を求めながら「困…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル